沖水㈱倒産と大手スーパー 取引の一社集中は危険か?経営判断狂わす

沖水㈱倒産の話と関連することなのだが、販売先を極端に1社に
集中する事によるデメリットの部分について考察したい。
「何をそんなアホなことぬかす!自社の業績を良くしていくため
にワシらは毎日必死に頑張っている。大手の販売先を確保するこ
とがなぜ悪んだ?」
と疑問に思う向きもいるだろうが、少し聞いてほしい。
自社の体力以上の大手と取り引きした場合のデメリットの一つ
として、筆者が聞いた話にこんなことがあった。県内鮮魚仲買い・
㈲魚しげの小林繁社長が以前ヒアリングの際、話したことだ。
「うちは1社に対し総売上の1割を上限にしている。1社に対し
10%以上のシェアになると、その企業から無理難題を言われた際、
冷静な経営判断ができなくなり、その取引先のいうがままになって
しまう。だから、1割以下に抑え、いつでも正確な経営判断を取れ
るようにしたい」
その時期、魚しげは飛ぶ鳥を落とす勢いで、県内大手スーパーや
百貨店から取引のオーダーが入っているところだった。ある大手スー
パーは、冷凍魚仕入れについて、①取引先企業、②仕入れ価格━まで
指定してきたという。
取引先分散は、経営学でいうリスクヘッジの考え方であるが、現実
にはかなり難解だ。
翻って沖水㈱の場合、大手スーパーマーケットに対し、一定程度
以上の取引をしていなかったか?いまとなっては西澤社長へそのこ
とを聞くことはできないが、一定割合以上の売上をしている企業に
対し、
「そんな小さな利益しか得られないのなら、そのオファーは
お断りする」と毅然と言える立場になかったのではないか?
関東でもトップランクのその総合食品スーパー(沖水がその企業の
PB商品を納品していた企業)は、周囲は国内大手がひしめいており、
モズク加工品のプライスも競合他社だけでなく、そのスーパー内の店頭
にも大手山忠食品工業など強力なライバルがいる。その厳しさの最たる
競争のなかで生き延びていかねばならいと思う時、産地沖縄側もたたずま
いをただし、愚直になすべきことを行い、モズク経済の現在と将来を見つ
めて行こうと考えている。(おわり)